改良の喜びをともに

               住職 小野山  淳堂

 

御教歌

 新しき年もろともに信行の

     改り行く春ぞ目出度き

 

 水ぬるむ三月。花や虫と同時に、我々のご奉公もいよいよ活動の時を迎えました。

 他寺院参詣では十日が金沢昌柳寺、廿四日が伏見妙福寺の門祖会。寺内行事では十七日が新入園新入学祝賀会、廿日が信行講座となっています。

 

 卅一日は当山門祖会で権大僧正福岡日雙上人のご奉修です。上人は源氏物語ゆかりの須磨にある香風寺の先住で、佛立新聞や大放光などでの文書弘通の他、ハワイ・ロス・スリランカ・インド・イタリアなど海外弘通でも活躍されて来た行動派の御導師でもあられます。

 家族や組内は勿論、お教化を成就して新教化子と一緒にお参詣させていただきましょう。

 

 さて、冒頭の御教歌は正月を迎えた新春の御教歌ですが、今年のご講有猊下の年頭のお言葉を覚えておられるでしょうか?

 ご講有のお言葉には、今年は「大改良の年」であるとありました。お言葉の通り「改良」を心がけ、実践はできているでしょうか。

 諺に「なくて七癖、あって四十八癖」といいます。癖がなさそうな人でも七つ、多い人なら四十八もあるのが癖。しかも、「人に七癖、我が身に八癖」で、他人の癖は目につきやすいのに自分の癖には気がつかない。だから、自分には他人以上に癖があると用心せねばなりません。

 

 お互いのご信心にも癖があるのではないでしょうか。

 御題目のお唱えの仕方一つでも、「ふくらんだ。ふくらんだ」と聞こえる方。首を振って唱える方。目をつむって下を向いて唱える方。おもちゃのおサルのシンバルのように、拍子木を両側から振って体の真ん中で叩く方。体全体でリズムをとる方。イネムリ題目、つぶやき題目の方。御法門が始まるとイネムル方。必ず時計を見てソワソワする方。本堂にカバンだけ参らせている方。遅れて参る方。必ず後ろに座る方。

 とかく自分には甘く人には厳しいのがお互いで、人を怒らせる一番の方法は「ちょっとは自分のことを考えよ。自分はどうや?」と聞き返すことだといわれます。

 しかし、年が改まるお正月がそうであるように、お互いの癖が改まったり改良点を見つけて新しい挑戦を始めたりする時には、そこに生まれ変わった自分がいるようで心の底から喜びが湧いてくることもあります。

 

 先月紹介した出井和夫さんと先日出あった時、「今日は、お休みですか?」と尋ねると、「今年の正月に、ご講有が改良しなさいと仰ってるというのを聞いて、今年は参詣を改良しようと思ってお参りさせていただきました」と、喜びを噛みしめるように答えられました。

 その後も、お医者さんから「もう歩けないよ」と宣告されたけれども、お計らいを頂いて歩けるようになった奥さんと一緒に参詣に気張っておられます。

 お互いも、ご講有のお言葉を有難く頂いて、今年を「大改良の年」にしなければなりません。自分では気が付きにくい改良点も互いに折伏し、喜びにあふれた年に致しましょう。

 

 

御指南「これにてもよしと自らゆるす心あるにより、改良の心なきは〇諸天のにくみ給ふ処也。故に守りなし」(扇全13・351)