今月の御法門 

   あなたは信行相続派ですか 

      住職 小野山  淳堂

御教歌

子孫には信心のこせかねためて

    地獄へおとす様な事すな

 今月は春の彼岸会の時節。コロナウイルスが心配でもありますが、春の温かさが嬉しい季節。自分が今ある根っこであるご先祖への感謝の思いの起こって来る時でもあります。

 今月二十二日は門祖会。伏見の松本日延上人がお勤めくださいます。大恩報謝の思いを込め、家族ぐるみで参詣させて頂きましょう。

 さて、お祖師さまのお書き物に『上野殿御返事』(『子財書』)というお手紙があります。「上野殿」とは南条時光という方の事で、「上野」とは静岡県富士宮市辺りの地名です。

 

 弘安三年八月夏、時光氏に男の子が誕生し、依頼を受けられたお祖師さまはその子に「日若御前(ひわかごぜん)」と名前を贈られました。

 そして、お手紙には「女子(おなご)は門をひらく、男子(おのこご)は家をつぐ。日本国を知りても、子なくば誰にか、つがすべき」(昭定一七九一)とも記されてあります。

 女の子には他家へ嫁いで一門の縁を外に開く徳があり、男の子には家の繁栄を引き継ぐ徳がある。たとえ日本国を支配(知る)する権勢を得たとしても、もし子供が無ければ、誰にその後を継がすことができようか。その事を思えば、女の子に加えて、こうして男の子が生まれたことは誠に目出たい限りであると祝意を述べられているのです。

 南条家は上野の地頭として有力な家柄。男子の誕生は家の安泰を約束するもので、正しく子財(こだから)に恵まれたという事ができます。

 

 しかし、南条家は四条金吾殿と並ぶ親子二代に亘る強信者の家で、お祖師さまが命名された「日若御前」の名前にも、お祖師さま・日蓮大士の教えを継いでくれる若さま・おさなごの意味が含められていて、お祖師さまにとっても、二陣三陣と続く法灯相続の後継者ができたと、その喜びを名前に込められたのです。この法灯相続を喜ぶ意はお祖師さまや南条家だけでなく、今日のお互いのものでもなければなりません。

 先年帰寂された疋田局長も、「御導師、これからはお教化もですが、特に法灯相続は完全にできるようにしなければなりません」と、よく言っておられました。あなたは、「信仰は自由。子供には子供の考えがある」、「信心は押し付けてはならない」、「何度言ってもいうことを聴かない。仕方がない」等と思っておられないでしょうか。

 法華経は、み仏ご自身が「最も第一の教え」であると仰せられた教え、「根本の教え」であり、御題目口唱はみ仏ご自身が「実修実証」されたご修行。法華経譬喩品には「若し人信ぜずして此の経を毀謗せば、則ち一切世間の仏種を断ぜん○其の人命終して阿鼻獄に入らん」と説かれてあり、お祖師さまはこの御文を引いて謗法を厳しく誡めておられます。

 

 「うちは大丈夫」と思っても、御本尊は奉安していても御題目を唱えていない、お寺お講に参ったことがない、財の功徳の積み方を知らないという仏壇相続だけの家もあります。

 先月、入信された中村さんは、お助行を受けて「色んな宗教を巡ってきたが、こんなに有難い御題目の宗旨はない」と感激されました。信心の喜びを譲り遺す信行相続を。

御指南「世財をゆずりあたへて、信心をもさせず、しなば己れの参拝は思ひもよらず」(扇全十四・一九一)