今月の御法門 

   人徳を磨こう 

      住職 小野山  淳堂

御教歌 

人の世は人らしきことしてくらせ

    みのりにあへる人は猶さら

 コロナ禍の中、夏期参詣も無事に開催でき有難うございました。捻挫で足を痛めた婦人会長の中島孝子さんが、お寺に行きたくて行きたくて、お参りやご奉公ができるようになって本当にうれしいと涙ぐまれました。当たり前の事が当たり前で無いと解った時、心が潤い豊かになります。

 今月廿三日には、三座に亘って開導会を奉修させて頂きます。今回は松風会の交流参詣で、大阪日風寺の小野山日将上人にご奉公を頂きます。密を避け、参詣時間帯を指定させて頂いています。出来るだけ守ると共に、時間帯に参詣できない方は組長にお申し出ください。

 

 さて、第三東組の角田敏子さんが、右膝関節の手術後、リハビリも終えて無事退院され、夏期参詣中に信行体験談を発表して下さいました。

 リハビリ治療は1日3回3時間、決して楽なものではありませんでしたが、敏子さんは毎日朝夕の御題目口唱を欠かされませんでした。 

 そんな中、敏子さんのおられた4人部屋のカーテンはどこも閉め切ったまま。「これではいけない!」と思われた敏子さんは、思い切って、リハビリに行く前には「これから行ってきます」、帰って来た時には「只今、帰って参りました」と、声を掛けるようにされました。しかし、誰からも返事はありません。

 それでも、他の方がリハビリに出かけられる時には「行ってらっしゃい。頑張ってね!」、帰って来られた時には「お帰り。お疲れ様です!」と、声を掛け続けられました。

 すると、皆さんが段々カーテンを開けて元気に声を掛けて下さるようになり、お寺でするように「ありがとうございます!」の挨拶も自然にできるようになり、先生も「この部屋が一番明るくて楽しい」と褒めて下さるようになったとのことです。

 また、ある日のこと、歩行訓練の時、先生が「角田さん、米倉涼子のように歩きなさい」と言われました。「えっ!?こんなボロボロの私には無理です」とつぶやきながら、すっくと立ち上がって、「私、失敗しませんから!」と、大きな声で言って歩き出すと周りの人達は大笑い。

 また、足に重い器具を乗せて足を引っ張るリハビリのメニューの時、「痛い!」とは言えずひたすら我慢していると、日扇聖人のお顔が現れ、「ガンバレ!ガンバレ!」と励ましてくださった。それが何度も続いて、敏子さんは「佛立宗の信者で本当に良かった」と思われたそうです。

 こうして、最後に、苦しかったことも楽しい思い出となり、これからも体に気を付け、ご奉公に頑張りますと言って体験談を結ばれました。

 三密が叫ばれる中、無防備ではおれないが、人間が人との繋がりを失う事は、人としての喜びや尊厳を失い、存在価値を失う事を意味します。

 敏子さんの明るさは天性のものでもありますが、ご主人を早く亡くされた敏子さんが毎日朝参詣につとめ、御法門を聴聞し本堂の回廊をお掃除して、信心によって培って来られた人徳によるものともいえます。手本とさせて頂きたいものです。

御妙判「教主釈尊の出世の本懐は人の振舞にて候けるぞ」(昭定一三九七)