今月の御法門 

   法貴ければ人貴し 

        住職 小野山  淳堂

 

横走るあし間の蟹も滝川の

          すぐにながるゝ水にすむなり

  

 先月の開導会は松風会の交流参詣も頂き、建國寺をはじめ他寺院から百名を超すご参詣で有難い法要を営ませて頂けました。有難うございました。

 今月十六日から八月四日までの二十日間は夏季参詣。夏休みに入る子供さんが生活のリズムを崩さないよう、御法門を聴いて仏様の教えで心が養えるよう、家族ぐるみで参詣し、ご信心の妙味を味わわせて頂きましょう。

 また、二十九日は大津法難の記念日です。報恩口唱会に参詣して、御題目口唱の心地良さを楽しませて頂きましょう。

 

 

 さて、比叡山には千日回峰行という行があります。酒井雄哉という方は二千日回峰行を成就された方で、千年に三人しかいない方でした。一日で四十キロ、千日で五万二千キロ、足掛け十四年で十万四千キロ、地球を二回り半ほども歩き続け、この間に、九日間にわたって断食、断水、不眠、不臥しつつ十万回の真言を唱える堂入りという行もあり、これは死ぬ危険性が高いため生き葬式をして行に入るそうです。しかし、この行は相応和尚という方が平安時代に始められた修行で、例えどんなに厳しい修行でも、み仏ご自身がされた修行でも、我々にせよと勧められた修行でもありません。

 

 これに対し、お祖師さまは、我々がさせて頂く御題目口唱の行は小さな子供でも年の行ったお年寄りでもでき、智慧やお金が無くてもできる易しい修行でありながら、み仏の万善満行の功徳のこもった修行であることを、「釈尊因行果徳の二法は妙法蓮華経の五字に具足す。我等此の五字を受持すれば自然に彼の因果の功徳を譲り与え給う」(観心本尊抄)とお教え下さってあります。また、この修行は、如説修行抄に「日蓮仏勅を蒙り」と仰せられてあるように、上行後身高祖日蓮大士が久遠本仏のご命令を受けて末法の我々の為に命がけでお授け下さった行であり、我々はお祖師さまを通じて、本仏ご自身が実修実証された御題目の口唱行をそのまま行じ、不思議の御利益を頂くことが出来るのであります。

 

 冒頭の御教歌では、妙法五字の御題目の世界を滝川の清らかな流れに、我々を横ばいしかできない沢の蟹に譬えて、我々のような拙い者でも、貴いご法のお蔭で結構な果報を頂くことができるのだから、自分もしっかり御題目を唱え人にも勧めよと教えて頂いてあるのであります。

 

 大阪光清寺の御利益談集に友竹英子さんのお話しが載っています。英子さんのご両親は元宥清寺、後に大阪圓妙寺のご信者でしたが、英子さんは十八歳でお母さん、廿一歳でお父さんを亡くし、妹弟三人の親代わりとなられました。お父さんの帰寂から五年。妹が胆石で手術するお金も無く、泣きながら背中を撫でていると、お導師の「困った時は必ず御宝前が助けて下さる」と言われた言葉が浮かんできて、必死に御看経を御線香一本。台所へ立つと、お父さんの友達が泣きながら座っていて、お前の後ろにピカッと光がさしていて、その神々しい姿に涙が止まらないとのこと。この御看経で御利益を頂き、この人が変化の人となって助けて下さったという事です。

御指南「義理も味ひもしらざれども、南○経と唱ふる人は其音声に無量の功徳を備へ、別に願はざれども一声ごとに罪障を滅し、もろもろの願成就に趣く」(扇五・一四四頁)