今月の御法門 

   令和への旅立ち 

        住職 小野山  淳堂

 

御教歌

弘通には過行方を習はずに

    成行末の人機はかれよ

  

  「令和」の時代が幕を開けました。どんな時代になるのでしょうか。楽しみでもあり不安でもありますが、良き時代にするかせぬかは、時代を生きる人の心掛けによるものと存じます。

 

 「令和」は万葉集が出典で、「初春の令月にして 気淑く風和ぎ 梅は鏡前の粉を披き 蘭は珮後の香を薫らす」から採られたということです。辞書には「令月」は二月の異称、「万事をなすのによい月」とありますが、一般には、「令」は「物事のつやがあるように美しい」の意で、「空気は美しく、風は和やか、梅は鏡の前の美人が粉おしろいで装うように花咲き、蘭は身を飾る衣につけた香のように薫っている」と言う程の意味だそうです。

 当山では、今月五日に「子供御会式」を奉修させて頂きます。思い出に残る令和元年の幕開けにふさわしい和やかで幸先の良い御会式にしたいものです。みんなで勤めさせて頂きましょう。     

   

 さて、冒頭の御教歌は開導聖人ご入滅前年のお歌で、お書入れには、み仏のご一代記やお祖師さまのご伝記を講ずるだけではご弘通のためにはならず、芝居・講釈の域を出ないぞとお示しです。これは同じ事を同じように繰り返すな。変革を恐れるな。不変の本義を失わない事は大切だが、今を見据え未来を思い改良を加えよと教えられたものと拝されます。

 現代社会は複雑。人間の気持ちは信念に乏しくフラフラしていて心身は脆弱。飛び交う情報もバラバラ。何を信じてよいのやら見当がつかない。そんな中で我々は悪い流れを断ち切り罪障を消滅し、功徳を積んでいい流れへと人生を転換していく道を歩んで行かねばなりません。

 

 御教歌の「人機」の「機」は「仕組み」の意で、仏道修行によって人間に具わった「仕組み」が働き出し、それによって発揮される力、能力が「人機」で、み仏は、その滅後二千年が過ぎ終った末法という時代には、争いが盛んで、正しい教え(白法)が隠れて時代の中に没する「闘諍堅固・白法隠没」の時代がやって来ると見越され、この時代の「人機」に最もふさわしい、み仏のお覚りの功徳のこもった上行所伝の御題目をお遺し下さったのであります。

 この御題目が末法の世にふさわしい由縁は、御題目をお唱えしさえすれば、その口唱の力・経力によって妙不思議の御利益が頂けるということにあります。しかし、この上行所伝の御題目の妙味を、「人機」の低い、末法の心のふらつく、それでいながら自説を曲げず、正法の徳を隠してしまう末法の人に、どう伝え遺して行くかが問題です。

 

 あるアンケートで、成功した企業家に共通する成功の秘訣は、

①明確な目標を持つ

②人より少し余計に努力することを習慣化する

③必ず成功するという信念を持つ、の三つであったという事です。我々も、一つ一つ事に当りながら、この三つの原則を見失わず精進させて頂きましょう。

 

御指南(扇14・449頁)

「其なす物事一つ一つにこれはよしと思はゞ、憚る事なく尽力して其事にかゝるべし」