未病を治すご利益 

      住職 小野山  淳堂

御教歌

今日を無事にくらせるご利益を

   わするゝ間なく信行をせよ

 開導会も無事に奉修でき二座目には晴天のお礼言上をして頂きました。コロナ禍の中、教化誓願も成就でき、ご一同の真摯なご参詣ご奉公ご有志に心から随喜いたしております。

 秋の高祖会は十月二十四日で且く間が空きますから、高祖ご降誕八百年のご聖日に向け、残り六個となったお教化の成就目標がいち早く達成できるよう、共に夏期参詣に精進させて頂きたいと存じております。コロナ禍の中とはいえ、信心強盛に参詣に励み同信の方々と共に笑顔で一日をスタートさせて頂きましょう。

 

 さて、ワクチン接種も始まりました。大臣はワクチンには何の心配もなくデマに惑わされぬようと談話されていますが、厚生科学審議会の議事録には件数の多少は別に死亡や重篤な副反応も報告され若年層の接種について懸念する発言も見られます。

 今度のワクチンは人工のコロナウイルスの遺伝子を体内に注射して免疫力を得ようとする全く新しい方法です。しかし、自然免疫とはこれまでの日本人が色んな疫病や病気に苦しめられながら獲得してきた免疫が遺伝子によって受け継がれてきたもので、私という個人の中にはこれまでの日本人の歴史の全てが籠っていると言っても過言ではありません。

 この本来我々が持っている自然免疫力を高めウイルスが体の中に入り込んで病気を発症させない事がコロナに打ち勝つ一番であると言えます。

 

 これはお祖師さまのお手紙の中にも出て来る扁鵲という中国の名医のお話です。

 ある時、桓公という王様が扁鵲の評判を聞いて扁鵲を呼びました。この時、扁鵲は王様に邪気、今で言うウイルスが体の表面にとりついていることを診てとり「今、治療した方がよいでしょう」と告げましたが、王は「病気でもないのに治したと言って名を上げようとしているのだろう」と考え扁鵲を追い出します。しかし、且くして王は体の調子が悪くなり、再び扁鵲を呼びます。扁鵲が「前は針治療で治りましたが、今は漢方でなければ治りません」と診断すると、王は「何を大げさな」とまた扁鵲を追い返しました。しかし、更に病気が酷くなって寝込んでしまった王が扁鵲を呼ぶと、扁鵲はパット見て「帰らせて頂きます。病気は腸の中に入り込んでいます」と言って立ち去り、やがて王の訃報が国中に流れたというお話で、名医は未病を治すということです。

 

 昔の中国医学では祝由科という科があり、針や漢方以前に言葉で免疫力を高め治療をしたそうです。「病は気から」といいますが、『黄帝内経』にはお互いの気・感情を司る言葉の力で病気を治すことが書かれているということです。

 「今日を無事に暮せる」ことは、御題目というみ仏から授かった秘密の(大事な)言葉・密語によって未病の内にこれを治すお護りを頂いているということです。しかし、凡夫の身勝手な欲が出ると感謝が無くなります。お互いはこれを忘れず日々信行ご奉公に励むことが大事です。

御指南「利益を蒙るに冥顕のふたつあり。かげより守り給ふを冥の御利益と申す」(安楽教導抄、扇5・53)